ペルツズマブの術後療法での有用性 |
ペルツズマブの術後療法での有用性を検討したAPHYNITY試験の結果がASCO2017で発表されると同時にNEJM(DOI: 10.1056/NEJMoa1703643)に掲載されました。 【デザイン】 ・4805名の術後乳がん患者を対象。40%弱がn0。実薬とプラセボにランダム化。 ・主要評価項目:invasive-disease–free survival(recurrence of ipsilateral invasivebreast tumor, recurrence of ipsilateral locoregional invasive disease, adistant disease recurrence, contralateral invasive breast cancer, or death fromany cause)。 ・統計学的事項:IDFS:ハザード比0.75、検出力80%、αエラー両側5%。OSはセカンダリーとされているものの、全体でαエラーが5%に保たれるように三回の中間解析が計画されている。ただ、co-primaryという記載でないことや、有意でなかったにもかかわらず中間解析結果が報告されていることから、IDFS→OSというゲートキーピングの手法で解析が計画されていないのではないか、と思われた。 【結果】 ・IDFSは(hazard ratio, 0.81; 95% confidence interval [CI], 0.66 to 1.00; P =0.045)と、ギリギリながらペルツズマブ群で有意に改善をみた。n+では23%の改善。イベント数が少なかったこともあり、n0では差を認めなかった。 ・サブグループで交互作用はなかった。 ・OSは、hazard ratio, 0.89; 95% CI,0.66 to 1.21; P = 0.47) と有意ではなかった(この解析での有意水準は、p=0.00001)。 ・心毒性は1%以下であるが、ペルツズマブ群で倍に増えている。 【考察】 ・20%のリスク低減は、ACに対するAC-PTX(三週毎)と同程度。つまり、modestくらい。 ・観察期間が長くなれば差が出てくる可能性はあるものの、n0には直ちに使うほどの効果ではない。 ・反対に観察期間が長くなれば、全体での推定値のハザード比が小さくなってくる恐れもある。 【感想】 進行再発での治療効果を考えると、事前にはもっと高い効果を期待しているものと思っていたので、事前の効果の見積もりがかなり低かったのと、それが正確であったのには驚いた。加えて中間解析がプランされていなかったことから、やはりあまり期待されていなかったことがわかるが、それならば試験の対象をハイリスクに絞った方が良かったのではないかと思えた。 |
by aiharatomohiko
| 2017-06-14 00:56
| 論文
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