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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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ASCO2015 palbociclibはeverolimusよりいい薬っぽい


最近は学会に行かずしてすぐに情報を頂くことが出来るので、わざわざ海外まで足を運ぶだけのモチベーションを保つのが難しいくらいですね。ただ、留守番組には僥倖です。

さて、内分泌感受性転移乳がんの一次療法において、オープンラベルのランダム化PIIでレトロゾールにパルボシクリブ(CDK4/6阻害薬)を併用することで、PFSが2倍に延長したことがPALOMA-1試験で報告されています。同様のセッティングにおいてブラインド下で行われているランダム化PIII試験PALOMA-2試験の結果はまだ出ていないようですが、二次治療以降でフェソロデックスにパルボシクリブを追加することの有用性をブラインド下で検討したPALOMA-3試験(n=521 ランダム化は2:1)の結果が、ASCOの発表と同時にNEJMに掲載されています。

 この試験は、中間解析の結果でHR0.42とPFSが2倍以上に延長したので早期中止になっています。中間解析ではイベント数が少ないためにランダム・ハイ効果により治療効果が過大に見積もられる恐れがあることが知られています。以前はそんなことなんて知ったことかとばかりにこの時点でキーオープンしてクロスオーバーを許容するという暴挙が繰り広げられていたのですが、さすがにFDAが厳しくなったからかこの試験ではOSの改善をみるためにブラインド化が継続されているようです。ただ、早期中止になったけどダブルブラインドが維持されているというのは、どういう状態かすぐにはピンときません。また誰かに聞いてみます。

QLQ-C30 ではGlobalQOLとemotional functioningでパルボシクリブ群が有意に良好だったようです。 

サブグループ解析では有意な交互作用は認めなかったのですが、個人的にはDFI<24か月という予後の悪いケースで効果が低そう(n=65と少数ですが、交互作用のp=0.15)に見えたので、他の試験で再現性があるのか注目したいところです。

なお、死亡のイベントは 5.5% in the palbociclib–fulvestrant group and 5.2% in the placebo– fulvestrant groupと何やらあやしい雰囲気が漂っています。実際に、PALOMA-1試験では、OSのカプランマイヤー曲線はあんまり離れておらず(図)、HRが0.8程度だとするとこの症例数ではeverolimusの二の舞になる恐れも否定できないですね。しかしながら、その場合でもPALOMA-1から3までをメタ解析すれば何とかなるでしょうから、強引にOSでの有意差あり(と言っていいのかどうかわかりませんが)に持ち込めるような気もします。

ASCO2015 palbociclibはeverolimusよりいい薬っぽい_f0123083_22401365.png


さて、パルボシクリブがeverolimusに比べていいところは副作用が軽い(発熱を伴わない好中球減少症)ところで、医療費を度外視すれば使いやすい薬なのかもしれませんが、30%程で減量されているところをみると、それなりの注意は必要ということでしょう。また、パルボシクリブを併用してホルモン治療を引っ張ることでQOLが維持できることが患者さんにとってのメリットであるという観点からすれば、単独でもホルモン療法の効果が期待できる一次治療でいきなり使うというよりは、二次治療以降での出番になるのでしょうか。

最後に、患者さんのためにもOSの差が出なかったのは早期中止が原因だ!本当は差があるのだ!みたいな話にならないことを祈ります。。。
by aiharatomohiko | 2015-06-20 22:41 | 学会
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