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by aiharatomohiko
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SABCS2013 対策型マンモグラフィ検診の有用性に疑問


冒頭のPlenary sessionで、過去のRCTの結果から、マンモグラフィ検診により乳がん死亡が25%ほど下がるという前提で対策型検診が進められているものの、データの見直しにより有用性に疑問が投げかけられた。

乳がん検診のRCTのうちで乳がん死亡を低下するという結論になった試験のなかにランダム化に問題があるものなど質の低いものが含まれており、質の高いものに限れば乳がん死亡の低下は明らかでなく、90年代から乳がん死亡が30%下がっている理由は治療による効果ではないのかと考察された。その理由として、北欧では国によってマンモグラフィ検診が導入された年が違うため、もしマンモグラフィ検診が有効であれば国ごとに乳がん死亡が低下し始める年が異なるはずであるものの、乳癌死亡率の減少はいずれの国でも同じように年を追って下がっていること、また一つの国の中でも地方によりマンモグラフィ検診が導入された年が異なる場合でも、同じような傾向が認められていることが挙げられた。死亡率の低下の程度についても、EBCTCGのデータに基づけば、治療の効果だけで十分説明できるとされた。

マンモグラフィ検診の害についても考察された。1000人の無症状の健常者を10年間スクリーニングすることにより乳がん死亡から救えるのは3人にしかならない一方で、300-700名が偽陽性となり本来必要のない精密検査や生検を受けることになる(アメリカの場合)。精神的な影響も無視できない。デンマークにおける偽陽性がQOLに与える影響の研究結果が紹介された。マンモグラフィ検診で乳がんと診断されたグループ、異常がなかったグループ、偽陽性であったグループの3グループを3年間フォローした研究で、偽陽性になったグループは3年たっても不安のスコアが異常のなかったグループよりも高く、乳がんと診断されたグループと異常がなかったグループの間くらいのスコアであった。セクシュアリティー、睡眠などに影響が出ていた。身体的にも精神的にも偽陽性と診断されることの害は無視できない。

次いでマンモグラフィ検診によって無症状で発見される乳がんの中に治療の必要のない乳がんが含まれていることについての考察があった。Malmoスタディーのデータから、無症状でマンモグラフィでのみ検出された乳がんのうち四人に一人は不顕性であることが推定されている。つまり25%は過剰診断となる。また、マンモグラフィ検診の導入によって早期がんの発見は2倍になったため、進行がんが相当程度減少するはずと考えられるが、実際の減少は極めてわずかであることが示されている。これはマンモグラフィ検診により検出する必要のない乳がんが発見されることを示唆している。マンモグラフィ検診が行われていない40歳未満では、早期がんと進行がんの発症数は横ばいであることからも、乳がん発症が増加しているのではなく、早期がんが過剰に診断されることにより乳がん罹患数が見かけ上増えていることが示唆される。

演者の結論は、乳がん死亡の減少は治療の進歩によるもので、検診による効果はほとんどない。マンモグラフィ検診を受けるかどうかは個人の選択で公衆衛生の問題とすべきではないというもの。名郷先生も同じようなことを言われているが、これらのデータをみると同感である。日本人の場合には欧米人よりも発症率が低いために、害が同じとしてもメリットは低くなることが示唆される。こうして考えると、対策型乳がん検診の有用性は、こういった方法がありますよと広報することで、有症状の方が乳腺外来に行くことを促す効果に限られるのかもしれない。乳がん検診に来られる方に、これらの情報を提示する必要があるので、方法を良く考えてみます。

by aiharatomohiko | 2013-12-14 00:33 | 学会
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