ASCO2012 EMILIA試験その3 |
それでは、副作用はどうでしょうか。 Grade3以上の副作用は、57% vs 40.8%とT-DM1で少なかった。 嘔吐は29.3% vs 19.0%でT-DM1で少なかったのですが、 制吐剤の使用状況は詳細が分かりません。 他の毒性は、肝機能異常が約20%、血小板減少が28%(>G3 約13%) とあります。血小板減少は気になりますね。 脱毛はあまりないという話ですが、この発表からは良く分かりません。 トラスツズマブから外れたDM1の毒性でもこれですから、全身投与 なんかはとても出来ないのがわかります。 全体としては、嘔気のコントロールをうまく行うことができれば、 比較的使用しやすい薬剤のように思えます。 さて、T-DM1は20年以上前から言われていたいわゆるミサイル療法です。 何だか懐かしいですね。ミサイル療法は、適切な細胞表面上のマーカー が今までなかったため理論だけのものだったのですが、HER2タンパク というがん特異的標的が得られたため、現実のものとなったわけです。 がん免疫療法でもよい標的になるはずですが、HER2タンパクの免疫原性 にも左右される訳ですから、そう簡単なものではないのかもしれません。 現状がどうなのか調べてみようと思います。 先に述べたように、T-DM1の治療効果に抗HER2効果がどの程度寄与して いるか分かりませんので、ペルツズマブを追加する意義があるのかどうか 現時点ではわかりませんが、MARIANNE試験がこれを検証する為に 行われています。 ハ―セプテスト2+/FISH陰性のものに効果があるかどうかも気になる ところです。 それにしても、アバスチンと違って治療効果の差が大きいので、 きれいな結果ですね。早々の認可が望まれます。 |
by aiharatomohiko
| 2012-08-28 16:58
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