ASCO2012 EMILIA試験その1 |
トラスツズマブとタキサンで既治療のHER2陽性局所進行乳がんもしくは 転移乳がん980例を対象として、トラスツズマブにemtansineという 抗がん剤をリンカーでくっつけたT-DM1という抗体とラパチニブ・ カペシタビンの併用療法を比較したランダム化比較試験の結果が ASCO2012で発表されました。 T-DM1は細胞表面のHER2タンパクと結合した後に細胞内に取り込まれ、 ライソゾームで分解された時にemtansineが放出されることによって、 微小管の多分子結合を阻害し、細胞死を引き起こします。 同様な対象でのPII試験の結果が二つあり、奏効率: 25.9% (N=112)と 34.5% (N=110)でした。 前治療なしの方を対象としたランダム化PII試験では、T-DM1 (n=67)群 のPFSの中央値がtrastuzumab + docetaxel (n=70)群よりも有意に 改善した14.2 vs. 9.2 months (HR=0.59; P=0.035)という有望な結果 が報告されています。 さて、本試験は、T-DM1(3.6 mg/kg q3w IV)とCapecitabine 1000 mg/m2 orally bid, days 1–14, q3w+Lapatinib 1250 mg/day orally qdの1:1での比較試験です。 T-DM1の3.6 mg/kg q3w IVという量は、トラスツズマブの6mg/kgよりも 少ない量になります。トラスツズマブがこの量で抗腫瘍効果があるかどうかは 定かではありませんので、T-DM1の抗腫瘍効果に抗HER2効果がどの程度 寄与するのかは分かりません。 |
by aiharatomohiko
| 2012-08-26 22:50
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