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by aiharatomohiko
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CSPOR-BC乳癌学会サテライトシンポ企画


ゆるきゃら全国一位になったくまもんが住んでいる熊本で、

6月に第20回乳癌学会総会が開かれました。

相原病院からは今年も2題の演題発表を行いました。

今は豪雨で災害が生じているようで、お見舞いを申し上げます。


昨年の乳癌学会からCSPOR-BCでサテライトシンポを持つことに

なり、今年の企画を私が担当しました。

テーマは、臨床試験の結果を吟味する-このデータはどう読むべきか-

としました。

臨床試験で使用される代用エンドポイントの妥当性に関して、実際の

臨床試験を取りあげて、ディスカッションを行うというものでした。


話題の提供を私が行い、統計学的な解説を国立がん研究センターの

山本精一郎先生にお願いしました。

司会はがんセンター東病院の向井先生と東京大学の大橋先生に、

ディスカッサントは、東邦大学の朴先生、名古屋市立大学の遠山先生、

虎ノ門病院の高野先生にお願いしました。


内容は、進行再発乳癌におけるPFSの妥当性をベバシズマブの

第III相試験結果を例にとり、また術前化学療法におけるpCRの妥当性を

NSABP-B27を例にとり、検討を行いました。


代用エンドポイントとは、新規治療の治療効果をいち早く評価するため、

RCTでプライマリーエンドポイントとして使用されることが多い指標です。

代用エンドポイントが改善されるならば、真のエンドポイントも改善される



ことが前提になりますが、臨床試験の結果が統計学的に有意かどうか

という議論は盛んになされるものの、そもそもその代用エンドポイントは、

真のエンドポイントを反映しているのか?ということが話題として取り上げ

られることはあまりなかったように思いましたので、このような

構成にしました。


内容をかいつまんで説明します。

最初のパートでは、ベバジズマブの転移乳がんに対する一次療法の

臨床試験では、プライマリーエンドポイントであるPFSは改善されるものの、

真のエンドポイントである全生存期間の改善は見られないことを提示し、

次いで山本先生の解説によりPFSは進行再発乳癌の真のエンドポイント

である全生存期間を反映するものではないことが示されました。

こうなってくると、PFSをエンドポイントとした臨床試験を行うことの

意義が問われることになりますし、ベバシズマブの臨床での使い方に

ついても疑問が生じます。

実臨床でのベバシズマブのポジショニングについては、各ディスカッサント

によって立ち居地が異なることが鮮明になりました。

ディスカッションに熱が入りすぎたために、時間がかなり超過してしまい、

次のお題の時間があまり無くなってしまうほどでした。


次のテーマでは、ACにDTXを追加することで、pCR率は2倍になるにも

かかわらず、DFSやOSの改善効果はそれよりもかなり低いものであること

を示し、山本先生の解説でもpCRはあまり良い代用エンドポイントではなく、

これを指標として臨床試験を行うことに疑問が呈されました。

一方で、最近の論文では、サブタイプによってはpCRが良い代用エンドポイ

ントになる可能性が示唆されています。


FDAから出された声明では、トリプルネガティブなどに関しては、pCRを

エンドポイントとした術前化学療法の結果によって新薬が迅速承認の対象に

なるようですが、後に真のエンドポイントが改善されることの証明が必要

とされるようです。

アバスチンのケースと同じで、当たり前といえば当たり前の話ですが、

今後迅速審査の話だけを取り上げて話をする人も出てくると思いますので、

要注意です。

この問題に関しては、今後どのように発展していくのか、興味深いところです。


さて、当日は350名ほどの参加で立ち見が出る程の盛況でした。

来年の浜松でも行われる予定です。

誰が担当するかはまだ決まっていませんが、興味深いセッションになると

思います。ぜひご参加下さい。
by aiharatomohiko | 2012-07-22 21:50 | 学会
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