SABCS2011 pCRは忘れて良い clinical responseこそが重要 |
デザインはいい加減だけど結果はとんでもなく素晴しいGepartrio に移りましょう。 この試験は、術前化学療法としてまずTAC 2サイクルを行い、 PR/CRの場合には、TACx6とTACx8を比較する。 NCの場合には、TACx6とNX(ナベルビン+カペシタビン)を比較する という試験です。2072名の登録がありました。 結果をかいつまんで言うと、病理学的奏効についてはresponder(n=1344) でTACx6 21.0% vs TACx8 23.5% p=0.27、non-responder(n=604) で、TACx6 5.3% vs TAC-NX 6.0% p=0.73と差を認めなかった(既報) にもかかわらず、DFSでTACx8とTAC-NXの試験治療がどちらもTACx6 に勝ちました。 これだけ見ても、pCRという指標には臨床的有用性が乏しく、臨床的奏効 が重要であることがわかります。臨床的有用性が乏しいという意味は、 pCRになったら予後が良いというのは分かる、でもこれがその後の 治療方針の決定に何かの役に立つの?という意味です。 現状は”pCRになったから(ならなかったよりも)治る可能性が高いです。 よかったですね。”と患者さんに説明する以外に有用性が見出せない わけですから。 今もあまた行われている、再発抑制効果が明確でない薬剤が使用 されているpCRをエンドポイントとしたPII試験は倫理的に大きな 問題をはらんでいる様な気がしてなりません。 さて、この結果を翻訳すると、”臨床的奏効が得られたときには突っ込 んで治療せよ。効果が無かったときには薬を変更せよ”というものです。 この研究から生じる新たな疑問は、”効果があったときに突っ込んで 治療するのと、薬を変更するのはどちらが良いのか”という事ですが、 彼らのことですから、既にこのデザインの試験は行われているのでは ないかと思います。 個人的にはこの発表が今回のサンアントニオで最高の発表であり、 術前化学療法の臨床試験のなかでも最高傑作といえるのではないかと 考えています。もちろん、結果がconfirmされたら、という前提は 付きますが。 もうちょっとこの試験の考察は続きます。 |
by aiharatomohiko
| 2012-01-28 22:36
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