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by aiharatomohiko
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アバスチン:似たような結果と異なった解釈


アバスチンを題材にとっていますが、薬物療法の有用性に関する議論の本質

を突いた感のある総説(Comment)が、JCOに載りました。

Ocaña A, Amir E, Vera F, Eisenhauer EA, Tannock IF. 
J Clin Oncol. 2011 Jan 20;29(3):254-6.

原文を読んで頂くと、ナルホドな、と感心されると思うので、ぜひ原文で

読んで頂きたいのですが、以下要約を。

・化学療法±アバスチンの臨床試験の結果は、全てのがん種(乳がん・

卵巣がん・肺がん・胃がん・前立腺がん・大腸がん)で、アバスチン

使用群で無増悪生存期間(PFS)に改善傾向を認める一方で、全生存期間

(OS)に明らかな改善が見られないという傾向が、ほぼ一定して観察

されている。

・にもかかわらず、ある試験ではPFSを一次評価項目としているために

結果が“Positive”と発表され、別の試験ではOSを一次評価項目としている

ために結果が“Negative”と発表されている。

どちらが適切なのであろうか。

・結論を言うと、全生存期間やQOLといった適切な評価項目において、

臨床的に意味のある違いが認められたときに、“Positive Study”とすべき

である。 

・OSの改善が認められたときでさえも、潜在的に伴うQOLの低下とのバランス

を考える必要がある。(注)つまり、OSで有意差を持って勝った時でさえ、

それだけを持って“Positive study”とはするべきではないというスタンス。

統計学的有意差原理主義にとらわれている先生方に読んで欲しい。

目からうろこが落ちるか、内容が理解できないかのどちらかでしょう。

・特記すべきことに、試験が開始されてから、卵巣がんと肺がんの二試験で、

主要評価項目がOSからPFSに変更されていた。(注)OSでは十分なイベント

が得られないため、手っ取り早く結果の出る評価項目に変えたということ。

・Oncology communityは、PFSの改善に関して過剰な解釈をしている。

PFSの改善は、特に無症状の場合に画像での変化だけを追っている場合

には、患者にとっての意味のある成果とは言えない。

・がん種によって、評価項目や結果の解釈の基準が異なるのはおかしい。

すべてのがん種で、OSを主要評価項目として、臨床試験をすべきである。

といったところです。まさに正論ですが、どの程度の臨床試験がこの基準を

満たしているのでしょうか。


アバスチンのランダム化比較試験の結果一覧を見てみると、PFSの改善は

1~3ヶ月程度、OSの改善は-1~2ヶ月程度です。いくつかの試験では

重篤な合併症が増加することが報告されていることを考えると、アバスチン

はとても臨床使用に耐えないという結論になります。やはり。

以下J Clin Oncol. 2011 Jan 20;29(3):254-6 より引用。


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by aiharatomohiko | 2011-02-09 00:10 | 論文
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