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by aiharatomohiko
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FDAがアバスチンの転移・進行乳がんでの適応取り消し


進行大腸がんでは標準治療となっているアバスチン。

乳がんでも、その効果について期待が大きく、いくつもの臨床試験が

行われています。

しかしながら、転移・進行乳がんについては、進行を抑制する期間は

延長するものの、全生存期間を改善する効果が証明されなかかっため、

とうとう一度認可された承認が取り消されることとなりました。


FDAからの声明を見てみると、なぜ認可したのか、そしてなぜ取り消しと

なったのかについて、理路整然とした内容が書かれていました。

個人的にはそもそもなぜ認可したのか疑問があるため、言い訳のように

感じるところもあるのですが、総じて立派な開示の仕方であると思います。

要は、どこかの国の内閣の如く仮免だったのが、本試験で落ちた

ということですね。


FDAのステートメントで目を引いた内容は以下の通りです。

・E2100および追加で行われた複数の臨床試験によっても、進行を抑制

する期間の延長は証明されたものの、全生存期間を改善する効果が証明

されなかった。

・追試験の進行抑制期間の改善効果が、E2100ほど印象的ではなかった。

・その理由として、E2100は中間解析でPFSの改善効果が高かったために

早期試験中止となったが、E2100で見られた程の効果が、他の試験では

再現されなかった。これは“random high”効果ではないかと指摘されている。

→たまたま良い結果が出たときに、試験が中止となったために、真の治療

効果よりもよく見えていた、ということです。

かねがね考えてきたことですが、やはり中間解析結果には気をつけなければ

ならないという事でしょう。

他の早期終了した臨床試験の治療効果についても、注意してみる必要

はあるでしょう。

・重篤な副作用が20%ほど増える。

・それとトレードオフするほどのQOLやclinical benefitの改善も明らか

でなかった。

・効果のあるサブセットが見当たらない。もしあるとしても、現時点では

見分ける方法がない。


個人的に最も印象的だったのは、以下に引用する文章です。

-以下引用-

No trial to date has demonstrated an improvement in OS.

Based on consultation with ODAC in 1999, FDA has recommended

that an improvement in OS be the regulatory endpoint for applications

evaluating drugs and biological agents in the first-line setting in

metastatic breast cancer.

An improvement in OS is considered direct clinical benefit.

None of the trials for initial treatment of metastatic disease

(E2100, AVADO, RIBBON1) were reviewed by the Agency under a special

protocol assessment and the Agency did not agree with the primary endpoint

(PFS) prior to trial initiation.



代替エンドポイントは、真のエンドポイントと相関してこその代替エンド

ポイントです。手っ取り早く結果を出して承認をとる目的で、代替エンド

ポイントが一次エンドポイントとして使われる臨床試験がほとんどですが、

十分な症例集積ができるようになっている現状を考えると、今後は真の

エンドポイントを一次エンドポイントとすべきでしょう。

少なくとも代替エンドポイントだけでFDAの承認を取ることは簡単では

なくなっているように感じます。


保守的といわれるでしょうが、日常臨床においては、新しい治療法に

飛びつくのではなく、真の治療効果を見極めてから新しい治療を取り入れる

ことが、結局は患者さんのためになるのだと、考えています。


転移・進行乳がんでアバスチン時代が来るのは、効果予測因子が

見出されてからでしょう。
by aiharatomohiko | 2010-12-25 14:39 | 医療
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