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乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
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乳がん勉強会-乳がん個別化医療の現状-


大阪府立成人病センター所長の加藤菊也先生にお願いして、

乳がん個別化医療の現状に関する最新の乳がん研究事情の

講演をして頂きました。

先生はマンマプリントに代表される遺伝子発現プロファイル

による予後因子の研究の草分け的存在で、当初RT-PCRにより

乳がん、大腸がん、胃がん、肝がん、食道がん、神経膠腫、

肺がんといった多くのがんで研究を行って来られました。

肺がん以外は、遺伝子発現プロファイルと予後との相関が見られた

ものの、多くのがんではTNM分類などの方が予後との相関が強く、

遺伝子発現プロファイルが独立した予後因子として残ったがんは、

乳がんと神経膠腫だけだったようです。

このことから乳がんはとりわけ遺伝子発現プロファイルと予後との

相関が強いがんである事が示唆されます。

乳がんで複数の遺伝子発現プロファイルと予後との相関が報告されて

いるのは、乳がんにこういった特性があると考えれば納得できます。


何度聞いても印象深いのは、遺伝子発現プロファイルに使用される遺伝子

そのものが重要なのではなく、遺伝子発現を分類するアルゴリズムが重要

であるということです。

このことは、“予後予測に使える遺伝子セットはいくらでもある”ということから

も明らかで、例えばマンマプリントに使用している70の遺伝子だけでなく、

当初検討した1番から数100番目までのどの70の遺伝子セットを使用

しても同じような結果を得ることが出来ることからも分かります。


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遺伝子発現プロファイルは有用な方法と思われるが、従来の病理学的

因子をはるかに凌駕するとは言えないかも知れません。

例えば、大阪府立成人病センターが同院のコホートを使用して昨年の

乳癌学会で発表していたデータによれば、マンマプリントでGood

prognosis群に分類されたケースには核異形度が低いものが多く、

NG3は15%ほどでした。一方、Poor prognosis群では60%でした。

また後日触れるかもしれませんが、2009年のサンアントニオのポスター

ディスカッションセッションでの発表によれば、NG3では検討したほとんどの

遺伝子発現プロファイルで予後予測の精度が落ちており、使い物になりそう

にありませんでした(#103)。


全ゲノム相関解析によるSNPsと乳がん発症リスクの予測に関する内容も

興味深いものでした。

簡単に言えば、全ゲノム相関解析により7SNPsが乳がん発症リスクと相関

することが報告されたものの、ゲイルモデルよりも予測力が劣っており大して

使えないというものです(Gail MH. JNCI, 14, 1037-1041, 2008.)。

さらに、ゲイルモデルと併用しても大して精度が向上せず、現時点ではSNPs

は乳がんの発症予測には使えないようです

(Gail MH. J Natl Cancer Inst. 2009 Jul 1;101(13):959-63)。


著者名を見ると、どうもGail本人が止めを刺しに来ているようですね。

深いなあー。
by aiharatomohiko | 2010-01-11 23:55 | 医療
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