HER2陽性ER陽性転移性乳がんの治療 |
昨年のサンアントニオで発表された、HER2陽性ER陽性転移性 乳がんを対象とした、一次療法におけるラパチニブ vs ラパチニブ+レトロゾールのランダム化比較試験の結果が JCO(J Clin Oncol 27. © 2009)にのりました。 内容はサンアントニオの時と同じです。 つまり、HER2陰性乳がんではラパチニブの効果がなく、HER2陽性では 無増悪進行期間は30%改善されるが、全生存期間に有意な改善は無い、 ということです。 また、同様の対象で行われた、ハーセプチン+アナストロゾール vs アナストロゾールの試験結果もJCO(J Clin Oncol 27. © 2009) にのりました。 無増悪進行期間は40%改善されるが、全生存期間に有意な改善は無い、 ということです。 HER2陽性ER陽性転移性乳がんの治療においては、ホルモン治療単独を 優先とし、進行してから化学療法と抗HER2療法を行えばよいという結果です。 ハーセプチンとホルモン剤を同時併用する意義は、毎週点滴を行わなければ ならないわずらわしさや医療費を考えると、患者さんにメリットがあるとは 思いがたいです。 ラパチニブとホルモン剤の併用は、医療費を考えなければ点滴をする わずらわしさがないため、少しましだと思いますが、下痢などの副作用による QOLの低下が懸念されます。 結論として、全生存期間の改善が見られないので、ホルモン剤と抗HER2療法 の併用は、個人的にはお勧めしません。 |
by aiharatomohiko
| 2009-11-08 20:55
| 医療
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