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by aiharatomohiko
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サンアントニオ2008 N-SAS BC03


ひとりひとりに合わせたテーラーメード医療の時代といいますが、

現実には日本人と欧米人といった民族間差があるのかないのか

といった検証すらなされず、欧米で行われたランダム化比較試験の

データをそのまま日本人に適応している場合がいまだに良く見られます。

アロマターゼ阻害薬はまさにその典型といえましょう。


例えば、タモキシフェンを活性化する体内の酵素CYP2D6の遺伝子型

の違いが治療効果に影響を与える可能性が指摘されており、

欧米人と日本人で遺伝子型の分布が異なることが知られています。

タモキシフェンの効果がもし欧米人と日本人で異なるのであれば、

ひいてはタモキシフェンとアロマターゼ阻害薬との効果の差が異なります。

また、エストロゲン受容体やアロマターゼ自体にも遺伝子型に民族間差

があり、現在ではわかっていない治療効果や副作用の民族間差が

存在する可能性がないとは誰も言えないのです。

実際タモキシフェン5年終了後のレトロゾールの追加効果を見た

MA17試験では、白人以外のminorityではレトロゾールの追加効果が

確認されなかった旨の報告がなされています。

こういった議論は、ほとんどの人が知らないのか知らないふりをしている

のかは置いておいて、日常臨床の場でも学会の場でもほとんど聞く事は

ありません。


もちろん、日本人のデータがない場合は欧米人でのデータを適応する

以外ないのですが、今回のサンアントニオでN-SAS BC03の代表として、

やっと日本人でのアロマターゼ阻害薬の有用性のデータを報告すること

が出来ました。

N-SAS BC03は、2002年から 2005年までの間に登録された706名の

1-4年タモキシフェンを服用されている閉経後乳がんの方をそのまま

タモキシフェンを服用するかアナストロゾールに切り換えるかという試験です。

アナストロゾールのハザード比は無病再発率で0.69 (95 %信頼区間、

0.42 - 1.14; P=0.14)、無再発生存率で0.54 (95 %信頼区間、0.29 - 1.02;

P=0.06)と有意差こそつかなかったものの、他の試験とほぼ同等の再発

抑制効果を認めました。全生存率はイベントがわずかであったこともあり、

差を認めませんでした。

副作用に関しては、ほてりなどはタモキシフェンで多く、関節痛がアナスト

ロゾールで多かったものの、骨折は欧米のデータとは反対にタモキシフェン

に多く見られました。この原因は分かりませんが、欧米人ほど骨折が見られ

ないということは、アナストロゾールにとって悪いことではありません。

また、血栓症の発症がほとんど見られないといった、欧米人と日本人の

副作用に差があることが確認されました。

結果が出たのは遅かったとはいえ、また結果だけを見れば欧米での試験と

ほぼ同一ではありますが、単一の試験で物が言えるアジア人で唯一の

アロマターゼ阻害薬のデータです。

試験に参加された方々に、厚く御礼申し上げますとともに、

ご報告申し上げます。
by aiharatomohiko | 2009-01-29 22:07 | 学会
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